「勤務中の禁煙義務化は可能か?」

こんにちは。NYKオフィスの榎本です。

今年もあとわずかになりました。
年末の慌ただしい中、お過ごしのことと存じます。

個人的には仕事もひと段落し、ほっとしているところです。

ただ、毎年の事ですが、年末は通災・労災事故が多いと感じます。
時間には追われることも多いですが、こういう時にこそ、時間に余裕をもって行動したい
ところですね。
職場で一声かけるだけでも変わることもありますので、朝礼等で再度注意喚起して
いただくのも良いかもしれません。

 

さて、今回は、「勤務中の禁煙義務化は可能か?」というお題にについて
考えて行きたいと思います。

事務機大手のリコーは、国内のグループ会社で勤務時間中、全面禁煙にしたと
発表しました。
定時の就業中であれば社内だけでなく出張や外出先でも禁止にするようです。
理由として、他人のたばこの煙を吸う受動喫煙を防ぎ、社員の健康に配慮する
ためと発表しています。

企業において「禁煙を義務化しよう」と非喫煙者が声を上げた時に必ず出てくる
のが、喫煙者からの「喫煙する権利がある」という声です。
トイレに行くのと同じで、喫煙することも生理現象と同じだからという意見が
あります。また、喫煙所でのコミュニケーションによって業務が円滑に進むのだ
という主張もよく聞きます。
そもそも、社長をはじめとした役員が喫煙者の会社では、社内全面禁煙を強行する
のは難しいケースもあります。

【労働中の喫煙は権利なのか?】

はたして労働中の喫煙は、権利なのでしょうか?
最高裁の判決(昭和45.9.16)では、

「喫煙の自由は、あらゆる時、所において保障されなければならない
ものではない」とされており、制限に服しやすいものとされています。

また忘れがちですが、労働者は就業時間中勤務に専念しなくてはならない
という義務を負っています(職務専念義務)。
いくら喫煙所でのコミュニケーションが業務に役立つといっても、その間
業務に専念していないため、能率低下を指摘されても反論できません。

さらに企業側のリスクから見ると、受動喫煙対策をしなければ
安全配慮義務違反として従業員から損害賠償請求される可能性もあります。

以上のことから、「勤務中の全面禁煙は労働者の権利侵害とはならない」
とはなりくにい、考えらえます。

【禁煙者のみ採用することは可能か?】
さらに近年採用時に禁煙者のみ採用とする企業も増えてきています。
企業には採用の事由が認められており、禁煙者のみ採用することは、差別とは
言えず合理的な理由のあるものとして認められています(例えば三菱樹脂事件)。

 

 最後に、
 
 現在技術革新もあって、タール等の害のないタバコや、水しか放出しない煙草など、
喫煙者や受動喫煙の有害性が少ないタバコも登場しています。
 完全に周りに影響のないタバコがあるのだとしたら、通常職場で食べるお菓子や飴などと
どう違うのでしょうか。将来的にはタバコ自体の考え方も見直すことが必要になる可能性も
あると思います。

 AIも含めた技術革新はかつてないほど急速に進んでいます。少し話がそれましたが
今までの常識に問わられない、新しい価値観も許容できる時代に突入しているかと思いますので
タバコのあり方も、今後企業によって様々な対応が出てくることも想定されますので、注視して
行きたいところです。

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