就業規則~トラック運送事業の場合~
自動車運転者の勤務の大半は企業外で行われ、運転のほか、荷の積み卸し、配送や待機など取引先企業の都合によるところも多く、また、交通渋滞などによる遅延等、直接、管理監督の及びにくい部分が多いため、一般的なモデル就業規則等では適切な管理運営が他の業種に比し難しい面がございます。
このため、服務規律やマイカー通勤に関する規定、自動車運転手の拘束時間・休息時間・運転時間に関する規定、給与諸手当に関する定めに留意しながらオリジナルの就業規則を作成することになります。
少し具体的にご説明致します。
運行管理や車両管理について
国土交通省やトラック協会の適正化事業の監査に耐える規定が必要です。(Gマークの取得等)。運行管理(自動車運転手の拘束時間や休息期間および運転時間(2人乗車の場合も想定)休息期間の配分や運転時間、連続運転時間、一運行の時間等)・車両管理についての規定を就業規則に盛り込む必要があります。
また、携帯電話携行の必要性が高く、会社で貸与する場合などは、情報端末の取扱いに関する規定、出勤日に労働時間外・休日における携帯電話のスイッチオンについての定めを押さえておきたいところです。
服務規律について
服務規律については、常々従業員にどういう指示をしているか、どのような事項を守らせたいと考えているかを整理し、そのことをそのまま規則に盛り込むようにすれば、最も企業の実情に合った規定をつくることができます。
しかしながら、一般的な他業種と比し特異性が高いため、明文化すると差が出る箇所になります。
例えば、荷積み荷降ろし先での身だしなみや対応について業務中、業務外を問わず酒気帯び、飲酒運転を禁ずる旨の記載等列挙していくうちに100程度の項目となり、一般的な他業種に比し、50程度項目数が多くなることがままあります。
マイカー通勤に関して
また、公共の交通機関が動いていない時間帯に出勤する必要がある場合も多分に想定されますのでマイカー等を通勤手段として使用するケースも多いと思われます。
マイカー通勤に関する規定も必要なケースが多いです。
(マイカー通勤の許可要件や申請方法、通勤手当についてや許可更新の時期や要件等)
賃金に関する規定
自動車運転手の賃金構成は、固定給の他、歩合給等の業績給や運行手当等業務に
関連する諸手当が多く、また、そのウエイトが高いのが特徴です。
歩合給を採用する場合は、計算しやすく、わかりやすい制度設計を行い、未払い賃金(割増等含む)が発生しないようにすることが必要です。
また班別業績をもとにインセンティブを支給する場合や、歩合給に運賃収入のうち○円を超える額について○%といったいわゆる足切り制度を採用する場合も表現や発生する事象を想定し、それに備えたわかりやすい規則が必要になります。
また、割増賃金においては時間外・休日・深夜についてはもとより業績給(歩合給)についての割増賃金についても明確にさだめる必要があります。
最近では、固定残業制の導入相談も業種の特徴でしょうか多くお声掛けいただき、制度設計もあわせて行わせて頂いております。
安全衛生に関して
前出の車両管理と重複する箇所もございますが、安全衛生に関しても、トラック運送業は、労働災害が少なくありませんので安全管理体制を確立し、具体的な災害防止対策をすすめる必要がありますので、一般的には安全衛生規則を別規則として具体的かつ詳細に定めておくことも重要です。